1952年の渋谷。今では想像もつかないほど、あのスクランブル交差点は影も形もなかった。現代の渋谷は、世界中の人々が行き交う巨大な都市の象徴であり、スクランブル交差点はその中心に位置しているが、1950年代の渋谷はまだ違った姿をしていた。
この時代、渋谷駅前には今のような交差点の喧騒はなかった。
1952年当時の写真を見てみると、そこに広がるのは穏やかな街並みで、現在のような商業施設や高層ビル群が立ち並ぶ景色ではない。人々はどこか落ち着いた雰囲気の中で生活をしており、電車を降りて家路に向かう乗客たちが行き交っていた。
スクランブル交差点が誕生したのは1973年。それまでは、渋谷駅前もごく普通の交差点があるだけの場所だった。その風景は、今とはまるで違うものだった。
1950年代の渋谷には、現在のような「センター街」も存在していなかった。センター街が誕生したのは、1955年の価格整理事業がきっかけだ。この地域が再開発され、若者文化が花開く場所となったのはそれから少し経ってからのことである。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください