「どうせ大学辞めるし、学生証だけ使って申請したら260万も出たわ」
その投稿を見た瞬間、私はスマホを持つ手が止まりました。
書いていたのは、大学時代の知人でした。特別仲が良かったわけではありません。でも同じ授業を取っていたことがあり、共通の友人も何人かいました。
最初は冗談かと思いました。
けれど投稿には、役所の窓口で撮ったらしい封筒の写真と、振込額が分かる通知書の一部が写っていました。
「返済不要」
「MAX申請」
「頑張って働いて返してる人たちお疲れ様ですw」
その言葉を見たとき、怒りより先に、気持ち悪さが込み上げました。
私は奨学金を借りて大学に通っていました。卒業してからも毎月コツコツ返しています。楽ではありません。給料日になるたびに、生活費と返済額を計算して、ため息をついた日もあります。
それでも、自分で選んだ進学だからと納得して働いてきました。
だからこそ、制度を支えとして本当に必要としている人たちを笑うような投稿が、どうしても許せませんでした。
数日後、その知人と共通の友人たちとの食事会がありました。
私は行くか迷いましたが、顔を合わせたときに本人がどんな態度を取るのか、少し確かめたい気持ちもありました。
店に入ると、彼はすでに席にいました。
新しいスマホをテーブルに置き、ブランド物らしい財布を見せびらかしながら、得意げに話していました。
「いや、マジで申請したもん勝ちだよ」
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