「また見つけてしまった」
ある朝、娘の宿題を確認していた私は、国語のプリントを見て思わず手を止めた。
問題はこうだった。
「上から読んでも下から読んでも、同じ意味になる言葉を探して、□に書きましょう」
一見すると、簡単そうな問題だ。
娘が書いていた答えは、少し薄い鉛筆の文字で、枠の中にぎっしり書かれていた。
「たけやぶやけた」
なるほど。
上から読んでも、下から読んでも同じになる有名な回文だ。
私はそう思いながら、隣にあった娘のノートを見た。
そこには、先生に提出する前の下書きが残っていた。
最初に娘が書いていた答えは、なんと――
「しんぶんし」
これも上から読んでも下から読んでも同じ言葉になる。
しかも、意味もちゃんと通じる。
しかし、娘はその答えを消して、最終的に「たけやぶやけた」と書き直していた。
理由を聞くと、娘は少し困った顔で言った。
「だって、しんぶんしって、下から読んだら新聞紙が逆さまになるでしょ?」
思わず笑ってしまった。
娘の中では、文字を逆に読むということが、本当に紙をひっくり返して読むことになっていたらしい。
翌日、返ってきたプリントを見ると、先生から赤ペンで丸がついていた。
その横には、短いコメントも書かれていた。
「よく考えました。ほかにも探してみましょう」
娘は大喜びだった。
そして夕食後、今度は家族全員を集めて、新しい回文探しが始まった。
「たまごがまた」
「るすにする」
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください