「何がヤバイか分かりますか?」
その画像を家族のグループに送ったのは、妹だった。
上段には1970年の家族。
畑の前で、両親と祖父母、子どもたちが並んでいる。
下段には2026年の家族。
立派な家の前で、同じように笑顔で集合写真を撮っている。
一見すると、昔と今の暮らしを比べた、微笑ましいイラストに見える。
父はすぐに言った。
「昔は大家族で、今は核家族になったってことだろ」
母は首をかしげた。
「でも、2026年のほうが人数は多くない?」
たしかに、1970年の写真より、2026年の写真のほうが人が多い。
しかも、白い猫まで写っている。
妹は、画像を拡大しながら言った。
「そこじゃないよ。もっとヤバいところ」
私は、建物や服装、家族の人数を順番に見比べた。
1970年の背景には、広い畑と低い家がある。
2026年になると、畑はほとんど消え、住宅と塀に囲まれている。
昔は家の前に広がっていた土地が、今ではすっかり生活空間に変わっている。
父は「都市化の話だろ」と言った。
しかし、妹が指差したのは、家の前に立つ祖父だった。
1970年の写真では、祖父は和服姿で、子どもの肩に手を置いている。
2026年の写真でも、祖父はほとんど同じ顔で、同じように立っている。
「56年も経っているのに、あの人だけ全然年を取ってない」
その一言で、部屋の空気が変わった。
祖父が1970年に30歳だったとしても、2026年には86歳。
子どもだったとしても、すでに高齢者のはずだ。
なのに、2026年の写真では、まるで同じ人物がそのまま立っている。
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