実家に泊まる時、私はいつもマンションの来客用駐車場を借りている。
その日も、受付で許可を取って、指定された場所に車を停めた。子どもたちは久しぶりのおばあちゃん家にはしゃいでいて、私も「今日はゆっくり寝られるかな」なんて思っていた。
夜中の1時すぎ。
旦那が「車に忘れ物した」と言って、ひとりで駐車場へ向かった。
ところが、戻ってきた旦那の顔が明らかにおかしい。
「ちょっと来て」
嫌な予感がして外に出ると、うちの車の目の前に、黒い軽自動車が斜めに停まっていた。まるで出られないように塞ぐ形。白いポールのすぐ横、どう見ても駐車スペースではない場所だった。
「え、これ…出せないやん」
思わず声が出た。
夜中だから管理人さんはいない。実家の母も「こんなの初めて見た」と困った顔。もし子どもが急に熱を出したら。もし朝早く出る用事があったら。そう考えた瞬間、腹が立つより先に怖くなった。
旦那は車に触らず、まずスマホで写真を撮った。ナンバー、停め方、時刻が分かるように何枚も。私は管理会社の緊急連絡先を探したけれど、つながったのは留守番電話だけ。
迷った末、警察相談の番号に電話した。
「私有地なので移動命令は難しい場合がありますが、所有者確認や注意はできます。現場確認に向かいます」
その言葉を聞いて、少しだけ肩の力が抜けた。
20分ほどして、警察官が来てくれた。写真を見せ、来客用駐車場の許可証も提示した。警察官は黒い車のナンバーを確認し、持ち主に連絡を取ってくれた。
しばらくして、眠そうな顔をした若い男性が小走りで現れた。
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