「配達中なんだから、少しくらい見逃してやれよ!」
郵便の車に近づく駐車監視員に、男が怒鳴った。
私も最初は同じ気持ちだった。
雨の中、荷物を抱えて走る配達員。
その背中を見ていたからだ。
けれど、男の次の言葉で考えが変わった。
「そっちより、俺の店の前を塞いでる車を何とかしろ!」
男が指さした先には、銀色のワゴン車があった。
歩道に乗り上げ、車椅子では通れないほど道を塞いでいる。
その手前で、年配の女性が立ち往生していた。
私は傘を差しかけて声をかけた。
「通れませんか?」
「車道に出るのは怖くて……」
そこへ、荷物を届け終えた配達員が戻ってきた。
女性に気づくと、すぐに荷物を置いた。
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