席に座って、お茶を入れようとした瞬間、手が止まった。
回転寿司に来た時のいつもの流れだった。
席に案内され、荷物を置き、湯のみを取る。
粉末のお茶を入れて、テーブル横の蛇口からお湯を出す。
それだけのはずだった。
でも、その日は違った。
蛇口の下を何気なく見た瞬間、白っぽい塊のようなものが目に入った。
最初は水垢かと思った。
お湯が出る場所だから、多少の汚れはあるのかもしれない。
そう思って、もう一度近づいて見た。
けれど、そこにはふわっとしたような白い汚れがびっしり付いていた。
周りの黒いカバー部分にも、細かい汚れが飛び散っている。
湯のみを持ったまま、私は固まった。
「え、これ何……」
思わず小さな声が出た。
一緒に来ていた家族も覗き込んで、顔をしかめた。
「これでお湯出すのは無理じゃない?」
そう言われて、完全に使う気がなくなった。
寿司を食べに来ただけなのに、最初に目に入ったのがこれ。
せっかく楽しみにしていた気持ちが、一気に冷めてしまった。
もちろん、写真だけで「カビ」と断定するつもりはない。
水垢かもしれない。
茶渋のようなものかもしれない。
掃除しきれなかった汚れかもしれない。
でも、飲み物に使うお湯の蛇口周りがこの状態に見えるのは、正直かなりきつい。
しかもここは飲食店だ。
客が直接口にするものに関わる場所だからこそ、見た目の清潔感は大事だと思う。
私はすぐにスマホで写真を撮った。
角度を変えて、蛇口の下、周囲の汚れ、湯のみの位置が分かるように残した。
そして店員さんを呼んだ。
怒鳴るつもりはなかった。
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