うん。
大したことじゃない。
本当に、誰かに怒るほどのことでもない。
店員さんに文句を言うほどでもない。
袋が少し曲がっていただけ。
テープの貼り方が、ほんの少しだけ気になっただけ。
でも、その「ほんの少し」が、なぜかずっと頭から離れなかった。
その日、私は買い物を終えて、いつものように紙袋を受け取った。
中身はちゃんと入っていた。
商品も無事。
袋も破れていない。
持ち帰るのに何の問題もない。
だから普通なら、そのまま何も思わず帰るはずだった。
けれど、テーブルに置いた瞬間、私は手を止めた。
封をしている透明のテープが、まっすぐ貼られていなかった。
しかも、紙袋の折り目と微妙にずれている。
端の部分も、少しだけ斜めに浮いている。
さらに、印字された文字が途中で切れていて、右と左でバランスが悪い。
見れば見るほど、気になってくる。
「いや、別にいいんだけど」
私はひとりでそうつぶやいた。
でも目は、ずっとそのテープを見ていた。
袋を開ければ終わる話。
中身を取り出せば、もう見ることもない。
分かっている。
分かっているのに、なぜか気になる。
こういう小さなズレが、妙に心に引っかかる時がある。
他人から見れば、本当にどうでもいいこと。
でも自分の中では、ずっと小さな石ころみたいに残る。
私は試しに、写真を撮って友人に送った。
「これ、気にならない?」
すると返ってきた答えは早かった。
「ごめん、めっちゃ分かる」
その一言で、私は少し救われた。
私だけじゃなかった。
友人は続けて、「テープの角度より、折り目をまたいでるところが気になる」と言った。
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