駐車場に着いた瞬間、私は言葉を失った。
「え……なんでこんな停め方するの?」
白いミニバンが、私の隣の駐車スペースに入っていた。
でも、その位置がおかしい。
駐車枠の線を完全に無視している。
隣の車との距離は、ほとんどない。
ドアを開けようとしても、手を入れる隙間すらない。
私は何度も車を確認した。
「これ、わざと?」
と思うほど、ギリギリまで寄せられていた。
その日は大型商業施設の地下駐車場。
休日で混雑していた。
だからこそ、1台1台が決められた枠に停める必要がある。
駐車場には大きく白い線が引かれている。
「ここからここまでが自分の場所」
誰でも分かるようになっている。
なのに、その車の運転手は違った。
まるで2台分を使うような停め方。
しかも隣の車のことなど考えていないようだった。
私は少し待った。
もしかしたら、すぐ戻ってくるかもしれない。
注意しようとも思った。
でも、感情的に言えばトラブルになる。
だから私はスマホを取り出した。
車の位置。
駐車枠の線。
周囲の状況。
写真を残した。
「証拠を残しておこう」
そう思った。
数分後。
買い物を終えた男性が戻ってきた。
そして、自分の車へ普通に乗り込もうとした。
その時、私は静かに声をかけた。
「すみません。この停め方だと隣の車が乗り降りできないと思います」
男性は一瞬こちらを見た。
そして、
「別に少しくらいいいでしょ」
と言った。
その言葉を聞いた瞬間、周囲の空気が変わった。
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