コンビニにコーヒーを買いに寄っただけのはずだった。
でも、レジ横で聞こえてきた会話に、私は思わず足を止めた。
「タクシー、来るまで30分以上かかるそうです……どうされますか?」
店員さんの声に、杖をついた年配の女性が小さく肩を落とした。
「えぇ……30分も……困ったわね」
その女性は、義母と同じくらいの年齢に見えた。
片手にはバッグ、もう片方の手には杖。
立っているだけでもつらそうで、店の外まで歩くのもゆっくりだった。
私は一度、手に持っていたコーヒーを見た。
知らない人に声をかけるなんて、普通なら迷う。
でも、そのまま見なかったふりをして帰ることはできなかった。
「急にすみません。どちらまで行かれるんですか?」
女性は少し驚いた顔をしたあと、近くのドコモショップまで行きたいのだと教えてくれた。
距離だけ聞けば近い。
でも、杖をついたその足で歩くには、決して近くない。
「私、帰り道なんです。よかったら乗っていきませんか?もちろん、怖かったら断ってください」
そう言うと、女性は私の顔をじっと見た。
少し迷ったあと、申し訳なさそうに笑った。
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