「これ、修理費ってどんぐらいですかね?」
相手の第一声を聞いた瞬間、私は思わず黙ってしまった。
駐車場で車に戻ると、左側のバンパーからフェンダーにかけて、白くこすれた跡が大きく残っていた。
ただの小さな傷ではない。
塗装は削れ、ライトの周りにもひびが入り、少し離れて見ても分かるほど車体が歪んでいた。
買い物に出ていたのは、たった20分ほど。
戻ってきたとき、私の車の横にいた男性が、気まずそうにスマホを握って立っていた。
「すみません、ちょっと当たっちゃって」
ちょっと、という言葉に引っかかった。
でも私は怒鳴らなかった。
まずは状況を確認し、写真を撮り、ナンバーも控えた。
相手は最初、軽い口調だった。
「これ、100万は超えないですよね?」
まるで、こちらが大げさにしているかのような言い方だった。
私は静かに答えた。
「それは修理工場で見てもらわないと分かりません」
すると相手は、急に顔をしかめた。
「でも走れるんですよね?だったらバンパー交換くらいで済むんじゃないですか」
その瞬間、胸の奥が少し冷えた。
事故を起こした側が、なぜ金額を決めようとしているのか。
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