「鉛筆を1本だけ動かして、最小の数字を作れ」
父が食卓に置いたスマホの画面には、黄色い鉛筆で作られた「96」が映っていた。
「こんなの簡単だろ。9を5にすればいいんじゃないか?」
兄が自信満々に答えた。
「それなら56になるね。でも、もっと小さくできるんじゃない?」
私はそう言って、画像をじっと見つめた。
たった1本。
動かしていい鉛筆は、それだけだった。
父はニヤリと笑った。
「10人に1人しか成功しないらしいぞ」
その一言で、私たちの負けず嫌いに火がついた。
兄は鉛筆の配置を指でなぞりながら、9を5に変える方法を説明した。
「ほら、これなら56だ。十分小さいだろ?」
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