朝6時40分。
いつもどおり出勤しようと玄関を出た私は、思わず足を止めた。
自宅のカーポートの向かいに、見知らぬ白い車が停まっていたのだ。
「何だ、これ……」
我が家は住宅街の中にある。
道路はそれほど広くなく、向かい側に車が停まっていると、カーポートから出るときにかなり気を使う。
しかも、ちょうど出勤する時間だった。
「ちょっと、見てくれない?」
私は妻を呼んだ。
「どうしたの?」
「向かいに車が停まってる」
妻は玄関から外を見て、眉をひそめた。
「えっ、こんな朝早くから?」
「知らない車なんだけど」
「出られないの?」
「ギリギリ出られると思う。でも、かなり邪魔だよ」
私は白い車を確認した。
運転席には誰もいない。
ハザードランプもついていない。
近くに運転手らしき人の姿はなかった。
「警察に連絡したら?」
妻が言った。
「そうしたいけど、まずは持ち主が分からないとな」
私は腕時計を確認した。
6時43分。
普段なら、もう会社へ向かっている時間だ。
「朝から勘弁してくれよ……」
私はため息をついた。
そのとき、向かいの住宅の玄関が開いた。
男性が出てきて、白い車のほうへ歩いていく。
私は声をかけた。
「すみません、こちらの車ですか?」
男性は振り返った。
「はい、そうですけど」
「うちの駐車場から車を出すので、少し移動してもらえませんか?」
男性は私のカーポートを見た。
そして、何でもないことのように言った。
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