ねんきん定期便の封筒を開けた瞬間、胸の奥がすっと冷たくなりました。
毎年届くものだから、最初はいつもの確認のつもりでした。
年金額がどれくらいなのか、控除がいくらなのか、ただ数字を見るだけ。
でも今年は、見慣れたはずの用紙の中で、ひとつの欄に目が止まりました。
介護保険料。
去年より上がっていました。
そして、その分だけ手取り額が減っていました。
「またか……」
思わず声が出ました。
年金そのものが大きく増えるわけでもないのに、引かれるものだけは確実に増えていく。
買い物に行けば、卵も米も油も少しずつ高い。
電気代、ガス代、薬代。
どれも「少しずつ」の顔をして、気づけば家計を削っていきます。
その日の夕方、私はいつものスーパーへ行きました。
カゴに入れたのは、見切り品の豆腐、値引きされた野菜、少しだけ安くなっていた鶏むね肉。
以前なら何も考えずに買っていた果物の前で、しばらく立ち止まりました。
でも結局、手を伸ばせませんでした。
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