1975年3月、東京駅はかつてないほどの活気に包まれていました。新幹線博多開業に伴うダイヤ大改正が目前に迫り、その影響で多くの列車が姿を消す運命にありました。この大改正は、日本の鉄道史においても大きな転機となるものであり、特にブルートレインに対する思い入れを持つ人々にとっては、特別な意味を持っていました。
その日、東京駅の12・13番線ホームには、コンパクトカメラを手にした鉄道少年たちが数多く集まっていました。彼らの目には、これから消えゆくブルートレインの姿が、最後の輝きを放って映っていたことでしょう。写真に残るその光景は、まさに「鉄道少年たちの夢の祭典」とも言えるものでした。
少年たちがカメラに収めようと必死になっていたのは、「あさかぜ3号」「みずほ」「さくら」といった名列車の数々です。それらの列車が発車するたびに、ホームには歓声が上がり、シャッター音が響き渡りました。
特に注目を集めていたのは、東京発のブルートレインに連なる20系客車でした。20系は、1958年に登場した寝台特急用の車両であり、その革新的なデザインと快適性から「走るホテル」
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