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朝のゴミ収集車が去ったあと、静けさではなく“惨状”だけが残った。破れた黒いネット、引き裂かれたビニール袋、道路に散らばる生活ごみ――そして、それを一人で拾い集める私。埼玉県●●市△△町の角地にある我が家の私有地は、いつの間にか「みんなのゴミ捨て場」になっていた。怒りはもう通り越し、胸の奥に重たい疲労だけが沈殿していく(続)
2026/01/20

朝のゴミ収集車が去ったあと、静けさではなく“惨状”だけが残った。破れた黒いネット、引き裂かれたビニール袋、道路に散らばる生活ごみ――そして、それを一人で拾い集める私。埼玉県●●市△△町の角地にある我が家の私有地は、いつの間にか「みんなのゴミ捨て場」になっていた。怒りはもう通り越し、胸の奥に重たい疲労だけが沈殿していく。

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我が家はごく普通の一軒家だ。庭には母が植えた古い椿があり、玄関脇には子どもたちが小さかった頃の自転車がまだ置かれている。その片隅に設置されたゴミネットは、見た目はただの黒い網だが、私にとっては十年以上続く重たい責任そのものだった。

回収車が去った直後、必ずと言っていいほどカラスが舞い降りる。鋭いくちばしで網の隙間をこじ開け、袋を破り、中身をばら撒く。私はホウキと塵取りを手に外へ出る。網が破れれば自費で買い直し、汚れれば洗う――それが当たり前の役割として押しつけられてきた。

子どもがまだ小さかった頃、散乱したゴミを拾っていると、長男が不安そうに私の袖を引いた。

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「またお母さんが拾うの?」
その一言に、胸が締めつけられた。

限界を感じ、私は勇気を出して自治会に相談した。「正式なゴミステーションを設置してほしい」と。ところが返ってきたのは軽い一言だった。
「ここは角地だし、年に一回のお祭りで神輿が通るから置けないよ〜」

現実はどうか。誰も神輿の通り道など気にしていない。昔ながらのご近所さんも、新しく越してきた人も、当たり前のようにゴミを置いていく。まるで「ここはみんなの場所」と決めつけられているかのようだった。

私は高齢の母の時代から、この場所の管理を引き継いできた。母はいつも「みんなのためだから」と笑って掃除していた。その背中を見て育った私は、文句を言うこと自体が悪いと思い込んでいた。

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でも正直、もう限界だ。
母が亡くなったら、私は必ず自治会に変えてもらうつもりだ。「いい人でいなければならない役割」を、もう続けたくない。

夜、静かな庭に立つと、破れたゴミネットが風に揺れている。その音は、まるで私の心の軋みのようだ。
私はただ、誰かに知ってほしかった――この角地に立つ黒い網は、今日も静かに揺れている。

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