「アイツらは日本人じゃないんだよ!」
そう吐き捨てる声が、雪の夜に刺さった。
時計は午前2時。まだ道の半分も終わっていない。なのに、また赤い回転灯が雪面に滲んだ。
理由はいつも同じだ。「エンジン音がうるさい」。
俺はその場に立ち尽くしていた。
重機の唸りは確かに大きい。でも、それは街を起こすための音だ。眠りを壊すためじゃない。
警察は降りてきて、淡々と告げる。「苦情がありまして」。それ以上でも以下でもない。
除雪の兄ちゃんが帽子を取り、深く頭を下げた。
「すみません。わざとじゃないです」
声は低く、掠れている。言い訳は続かなかった。ただ一言、ぽつりと落ちた。
「天亮前に終わらせないと、朝が止まるんで」
誰かが言った。「時間、変えられないんですか?」
その瞬間、胸の奥がきしんだ。簡単に言うな、と思った。
彼らは三晩、まともに寝ていない。三時間も眠れていない。
一方で、苦情の主は“自分の睡眠”を守りたいだけだ。
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