16年前の2月半ば、まだ寒さが厳しい日でした。私は体調を崩し、週に2回、中野坂上の病院に通院していました。その日も空は曇り、雪が降りそうな雰囲気が漂っていました。診察が終わり、バス停に向かう道を歩いていましたが、寒さが身に染みる一日でした。
病院からバス停までの道のりは短く、すぐにバスに乗り込みました。しかし、座席はすでに埋まっており、私は前方の乗降口付近に立っていました。バスの暖房が効いていて、外の寒さを忘れるほどでしたが、車内の混雑が次第に辛くなってきました。
バスが東京医科大学病院を発車し、新宿へ向かっていると、遠くから帰宅する人々が次々と乗り込んできました。すぐに車内は満員となり、立ち並ぶ人々の熱気と暖房の温かさが相まって、先ほどの心地よさは一変しました。
その時、赤ちゃんの泣き声が車内に響き渡りました。私は赤ちゃんを見ることはできませんでしたが、満員のバスの中で小さな赤ちゃんがどれほど苦しいかは容易に想像できました。赤ちゃんの泣き声が、車内の混雑と暖房の中で、ますます大きく響いていました。
バスは新宿に向かって走り続けていましたが、次のバス停で何人かが降り始めました。
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