私の右足は膝から下が義足だ。日常生活ではほとんど不自由を感じず、歩き方も普通なので、義足であることは見ただけでは誰にも気づかれない。しかし、長時間歩いたり、立ち続けるとどうしても疲れがたまる。特に電車の中ではその疲労が顕著で、座る場所がないときは本当に辛い。それでも、優先席に座るとしばしば注意されることがある。「若いのに何で座っているんだ」
いつもなら、そんな視線や無言の圧力には気にせず無視することが多い。だが、ある日、私はとんでもない出来事に遭遇した。それは、特に混んでいた朝の通勤電車でのことだった。
電車はぎゅうぎゅう詰めで、周りには立っている人々が溢れていた。私はいつものように優先席に座っていたのだが、突然、私の前に立っていたおっさんが、ものすごい剣幕で私に向かって叫んできた。
「おい!立てよ!みっともない!お前みたいな若い奴が座ってるんじゃねぇ!」
その言葉は鋭く、周囲の乗客も思わず振り返った。正直、私は一瞬、驚いて何も言えなかった。「みっともない」とまで言われたことで、心の中でカチンと来た。普段なら無視してそのままやり過ごすところだったが、その日は違った。何か言い返したい気持ちが湧き上がり、私は無言で静かに行動に移した。
無言のまま、私はゆっくりと右足の義足を外し、そのままおっさんの前に差し出した。
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