人目のない場所に連れて行かれ、何度も殴られた。痛みよりもつらかったのは、それを母に言えなかったことだった。
元世界王者・内藤大助さんの人生は、最初から強者の物語ではなかった。千九百七十四年、北海道豊浦町に生まれた内藤さんは、母子家庭で育った。生活は決して楽ではなく、中学時代には「ボンビー」と呼ばれ、同級生からからかわれたという。
給食を取られ、人目につかない場所で暴力を受け、心は少しずつ追い詰められていった。
それでも、家に帰ると何もなかったような顔をした。母に心配をかけたくなかったからだ。強い男どころか、毎日をやり過ごすだけで精一杯だった。殴られても、笑われても、言い返せない。少年時代の内藤さんは、後に世界のリングで拳を掲げる男とは、あまりにも遠い場所にいた。
高校に進むと、ようやくいじめからは解放された。しかし人生が急に明るくなったわけではない。卒業後も定職に就けず、ふらふらしている姿を母に叱られる日々が続いた。自分はこのままでいいのか。そんな焦りを抱えていたある日、書店で一冊のボクシング雑誌が目に入った。
「ジムに行っていると言えば、あいつらをびびらせられるかもしれない」
始まりは、決して立派な夢ではなかった。強くなりたいというより、もう怯えたくない。その一心でボクシングジムの扉を開いた。だが、その小さな一歩が、内藤さんの人生を大きく変えていく。
千九百九十六年にプロデビュー。努力を重ね、ついに世界初挑戦の舞台に立つ。しかし、そこで待っていたのは栄光ではなく、開始わずか三十四秒での失神KO負けだった。
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引用元:https://www.youtube.com/shorts/rhB73UiI7tI,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]