9回、マウンドに立つのは背番号17。スタンドから響くのは、割れんばかりの「ロウキ!」「ロウキ!」のコール。その瞬間、球場の空気が変わった。
佐々木朗希。その名をアナウンスが告げたとき、観客席の何人かは立ち上がり、スマホを構えた。“100マイル連発”の速報が、すぐにSNSを埋め尽くす。
「戻ってきたよー!」「本来の力、完全復活❣️」「痺れた!」誰もが待ち望んでいた瞬間が、そこにあった。
マウンドに立つ姿は、まるで機械のように無駄がない。大きく振り上げた足、重心のブレない体軸、鋭く振り抜かれる右腕。そして——捕手のミットが“ドンッ”と鳴る。
その一球が100マイル(約161km/h)を計測したとき、観客席が爆発した。まるで映画のワンシーンのように、歓声が波のように押し寄せる。
佐々木朗希が最後にこのレベルの投球を見せたのは、いつだったか。WBCの舞台か、完全試合のあの日か。彼の投球はただのピッチングではない。見る人の記憶を一瞬で呼び覚ます“体験”だ。
「危なげない投球」「戻ってきた本来の力」SNSにはそんな言葉が並んだ。
中でも印象的だったのは、あるファンのコメント。
「9回の朗希コールの中で、涙が出た。あのストレートに、全部が詰まってた。」
この一言が、多くの人の感情を代弁していた。
彼がマウンドに立つだけで、球場の空気が変わる。ピッチャーというより、まるでステージに立つアーティストのよう。“支配”という言葉が、これほど似合う投手はいない。
9回の歓声、100マイルのストレート、揺れるスタンド。それはただの勝利ではなく、「朗希が帰ってきた」という証だった。
彼の復活は、単なる投球フォームの調整ではない。
心も、体も、再び“あのゾーン”に戻ってきたということ。
「やっぱり佐々木朗希は特別だ」その言葉が、試合後のSNSを埋め尽くした。
そして誰もが思った——次は、この男が“主役”になる番だ。