赤信号で止まった瞬間、俺は前の車を二度見した。
白い高級SUV。ボディはピカピカ、運転席の男はスーツ姿。
どう見ても“ちゃんとしてる人”。
でも、後ろのガラスに貼られた一枚の紙で全部がズレて見えた。
「駐車キャンセル券をコンビニ駐車場に置いてもらえませんか」
一瞬意味が追いつかなかった。
でもすぐ理解した。
「これ、他人に不正させるお願いだろ。」
俺は思わず窓を下げた。
「それ、自分でやれよ。」
バックミラー越しに目が合う。
男は軽く笑って肩をすくめる。
「ちょっと置くだけでしょ?」
その言い方で、後ろの車のドライバーも気づいたらしい。
「人にやらせんなって」
横の配送ドライバーが声を出す。
空気が変わる。
でも男はまだ余裕顔。
「迷惑かけてないでしょ?」
その時、後ろの車の若い兄ちゃんがスマホを掲げた。
動画撮影。
男の目が一瞬泳ぐ。
信号の先に見えるコンビニ駐車場。
俺は指差した。
「その店、カメラあるぞ。」
次の瞬間、コンビニの制服姿の店員が駐車場の入口から出てきた。
こちらを見て、まっすぐ歩いてくる。
後ろの兄ちゃんが言う。
「紙、読めるように撮れてますよ」
男の顔色が変わる。
店員が車の横に立った。
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