俺の名前は長谷川佑。どこにでもいる平凡なサラリーマンだが、営業として八年、ようやく結果が安定し、次の査定で役職に手が届くところまで来ていた。二週間後に控えた大型商談――相手は「利益にならないなら平気で切る」と噂の本田氏。あの契約を取れれば、俺の評価は決まる。そう信じ、当日はいつもより早く家を出た。
ところが、朝の満員電車で異変を見つけた。
少し前の男女。男が不自然に距離を詰め、女が必死に視線を泳がせている。見て見ぬふりもできた。だが、女の震える肩を見た瞬間、身体が勝手に動いた。
「おい、何してる」
男は驚いて逃げようとしたが、俺は腕を掴み、次の駅で駅員に引き渡した。被害者の女性は涙を浮かべながら何度も頭を下げた。だが警察の事情聴取に同行することになり、気づけば時刻は昼前。十時の商談に間に合うはずがない。会社には代役を頼んだが、嫌な予感は消えなかった。
予感は的中した。本田氏は冷たく笑い、電話越しに言い放った。
「知らない女を助けてヒーロー気取り? 君みたいなバカがいる限り契約解除w 御社との取引は全部中止だ」
頭が真っ白になった。
損失は会社全体に響く。俺は何度も謝罪し、理由を説明した。だが本田氏の答えは変わらない。数日後、俺は社長室に呼び出された。鬼の形相の社長に睨まれ、俺は言い訳を捨てた。時間が戻っても、俺は同じ行動を取る。良心を捨てて生きることはできない。そう思った瞬間、答えは一つだった。
翌日、俺は辞表を出した。明日から無職――不安はある。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=atZHta5Xl78,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]