「日本人なら撃ってこない。銃を向けるだけで降参する」
アデン湾の闇の中で、新生ソマリア海賊のリーダー、アブデは笑っていた。彼らの標的は、日本の大型タンカー「富士山丸」。全長三百メートルを超える巨体に、大量の原油を積んだ“海に浮かぶ金庫”だった。
海賊たちは、かつてのような古びた漁船に乗る貧しい集団ではなかった。高速ボート、偵察ドローン、RPG、タブレット端末。
彼らは商船の航路を読み、弱点を探し、最も勝算の高い相手として日本船を選んでいた。
「日本は法律で縛られている。実弾は撃てない」
その思い込みこそが、彼らの最大の誤算だった。
深夜、四隻の高速ボートが白波を立てて富士山丸へ迫った。船内では警報が鳴り響き、船員たちが飛び起きる。放水装置が作動し、水の壁がつくられたが、海賊たちはその隙間を縫うように接近してくる。
一人がRPGを肩に担いだ。筒先は、タンカーのブリッジへ向けられていた。
船長は震える手で無線を握った。
「こちら富士山丸。武装集団に襲撃されている。至急救援を願う」
だが、その叫びが届くよりも早く、すでに状況を把握していた者たちがいた。
数キロ先の闇に溶け込むように進んでいた海上自衛隊の護衛艦「まや」である。
艦内の戦闘指揮所は、外の緊迫とは対照的に静まり返っていた。巨大スクリーンには、富士山丸に接近する四つの赤い光点。レーダーは海賊ボートの位置、速度、進路を正確に捉えていた。
「目標、急接近中」
艦長は静かに画面を見つめていた。撃てば終わる。だが、彼らの任務は破壊ではない。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=wwBmdvnq_c8,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]