「ちょっと! 私たち、あなたより先に並んでたんだけど!」
ホームの乗車位置に立った瞬間、背後から鋭い声が飛んできた。
振り返ると、3人の女性がこちらをにらんでいた。
しかし、彼女たちは列になど並んでいなかった。
地面に表示された乗車位置から少し離れた場所で、横一列になって話し込んでいたのだ。
足元には大きなキャリーケースが3つ。
その荷物が通路の半分近くを塞いでいた。
私はホームへ来た時から、彼女たちの姿を見ていた。
楽しそうにスマートフォンを見せ合いながら話していたため、電車を待っているのか、待ち合わせをしているのかさえ分からなかった。
少なくとも、地面の矢印に沿って縦に並んでいるようには見えなかった。
だから私は、誰も立っていなかった乗車位置の先頭に立った。
すると、3人は突然会話をやめ、私を取り囲むように近づいてきた。
「さっきからここにいたんですけど?」
中央にいた女性が、あきれたように言った。
「そうですか。でも、列はこちらですよね」
私は足元の表示を指さした。
白い線と矢印が、乗客の並ぶ場所をはっきり示している。
彼女たちが立っていたのは、その線から2メートルほど離れた場所だった。
ところが、別の女性が鼻で笑った。
「別に線の上に立っていなくても、待っていたら並んでいることになるでしょ」
「後ろから来た人には分からないと思います」
私がそう返すと、3人の表情が一斉に険しくなった。
「普通は察するでしょ」
「私たち3人もいるのよ?」
「一人なんだから、後ろに行けばいいじゃない」
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