「これ、さすがに危なくない?」
関西空港方面へ向かう南海電車に乗った時、私はドア付近を見て思わず二度見した。
そこには大小合わせて何個ものスーツケース。
黒い大型ケース、ピンクや白のキャリー、小さな子ども用らしき荷物まで重ねられ、ひとつの乗降口の前がほとんど荷物置き場のようになっていた。
近くには子ども連れの家族らしい乗客たち。
空港へ向かう電車だから、大きな荷物を持った旅行客が多いのは当然だ。
子どもを連れて、何個ものスーツケースを運ぶ大変さも分かる。
私自身、最初は「旅行なら仕方ないよな」と思っていた。
でも、電車が次の駅に到着した時だった。
ドアが開く。
降りようとした乗客が、一瞬立ち止まった。
目の前にはスーツケースの壁。
「すみません、ここ通れますか?」
男性が声をかけると、家族の1人が慌てて小さなケースを少し動かした。
しかし大型の荷物はそのまま。
結局、男性は体を横にして、ケースを避けながら降りていった。
その後も駅に着くたび、同じことが起きた。
乗ってくる人は荷物を避ける。
降りる人も荷物を避ける。
ベビーカーを押した女性は、入口を見た瞬間に別のドアへ移動した。
それを見て、私はさすがに気になった。
大変なのは分かる。
でも、だからといって公共交通機関の扉をほぼ1つ塞いでいいことにはならない。
私は家族に声をかけた。
「すみません。次の駅でもこのドアが開くと思うので、少し通路を空けた方がいいと思います」
すると、家族の男性は荷物を見て困った表情をした。
「多くて置く場所がないんです」
気持ちは分かる。
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