「ちょっと待って、蛇が水道に巻きついてる!」
朝、ゴミを出しに外へ出た瞬間、私は思わず足を止めた。
家の脇にある古い水道。
その蛇口の周りに、太くて長い“何か”が何重にも巻きついている。
しかも色は黄土色。
表面には黒や茶色の斑点がびっしり。
遠目で見ると、どう考えても蛇だった。
私は反射的に3メートルほど後ずさった。
「いやいや、こんな住宅街にこんなデカい蛇いる?」
そう思いながらスマホを取り出し、恐る恐るズームしてみる。
でも画面越しに見れば見るほど蛇っぽい。
細長い体。
まだら模様。
何重にもとぐろを巻いている姿。
ちょうどそこへ、隣の家のおじさんが出てきた。
「どうしたの?」
私は声を落として水道を指さした。
「蛇みたいなのがいるんです」
すると、おじさんは一瞬だけ固まったあと、大笑い。
「蛇って!それホースだよ!」
「え?」
近づいて確認すると――。
本当にホースだった。
もともとは半透明の白っぽいホースだったらしい。
それが何年も屋外に置かれ、強烈な日差しを浴び続けた結果、表面が茶色く変色。
ところどころ黒く焼け、見事な“蛇柄”になっていたのだ。
私は恥ずかしくなって、
「いや、でもこれは蛇に見えますって……」
と言うと、おじさんはまだ笑っている。
「そんなわけないだろ。都会育ちはこれだから」
そこまで言われると、こっちも少し悔しい。
そこで私は撮った写真を家族のグループチャットに送った。
コメントは一言。
「これ、何に見える?」
すると30秒もしないうちに返信が来た。
母。
「蛇!!近づいちゃダメ!」
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