「愛は言葉を超える」──この言葉がこれほど似合う夫婦は、ほかにいないかもしれません。
明治の日本に生まれた“奇跡の出会い”。アイルランド人の作家ラフカディオ・ハーン、そして松江藩士の娘セツ。
文化も、言葉も、宗教も、何もかもが違う二人。
けれど、彼らの間にあったのは「理解」ではなく「共鳴」でした。
世界がまだ“異国の恋”に冷たかった時代に、二人はお互いの孤独を埋めるように寄り添い、やがて“日本の心”を世界に伝える架け橋となります。
──そう、『怪談』の作者・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、その妻セツの物語です。

ラフカディオ・ハーンは、ギリシャで生まれ、アイルランド、アメリカ、そして日本へと渡った放浪の人でした。
異国を転々とし、どこにも「帰る場所」を見つけられなかった彼にとって、明治の日本は初めて“心が落ち着く国”でした。
そのきっかけとなったのが、松江で出会った一人の女性──セツ。
質素で控えめな彼女の中に、ハーンは「日本の美徳」を見出したのです。
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