その日、私は最初から“その場所”を見ていた。
マンション併設の小さな駐車場。午後の光が傾き始める時間帯、いつもなら空いているはずの区画に、なぜか古びた買い物カゴが置かれている。
そしてその隣で、腕を組みながらこちらを睨む一人の高齢女性が立っていた。
「車をどかせ。そこは私がキープしてある場所だ」
低く、しかし迷いのない声だった。
私は車の窓を少しだけ開け、落ち着いた声で返した。
「申し訳ありませんが、ここは共有駐車場ですよね?」
その瞬間、女性の表情が一気に歪んだ。
「は? ここは昔から私が使ってる場所なんだよ! さっさとどけろ!」
次の瞬間、彼女は手に持っていた杖で車体を強く叩いた。
“バンッ!”という鈍い音が駐車場に響く。
通りかかった住人が思わず振り返るほどだった。
私は一度だけ息を吐いた。
そして静かに、ドライブレコーダーの録画が続いていることを確認した。
――ここまでは想定通り。
私は最初から、この状況が起こることを待っていたのだ。
この駐車場には以前から問題があった。
特定の区画に私物を置き、事実上の“私有化”を行う住人がいるという噂。管理会社も注意はしていたが、明確な証拠がなく、改善はされていなかった。
その中心にいたのが、この女性だった。
私は入居してすぐ、何度も同じ光景を目にしていた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=PMjk26ymrfU,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]