その事件が起きたのは、いつもと変わらないはずの放課後だった。
リビングのテーブルの上には、息子が大切にしていた“レアカード”のコレクションが並んでいた。
透明スリーブに丁寧に入れられたそれは、彼にとってただのカードではない。何年もかけて少しずつ集めた、努力と時間の結晶だった。
「今日は友達と少し遊んでくる」
そう言って出て行った息子の声を、私はいつものように見送った。
しかし数時間後、家のインターホンが激しく鳴った。
ドアを開けると、泣きじゃくる息子が立っていた。
その手には、黒く焼け焦げた何かの残骸が握られている。
「……ごめん、母さん……」
声は震えていた。
私はすぐに状況を察した。
息子の話によれば、近所の悪ガキ数人と遊んでいた際、カードを見せたところ、興味本位で奪われ、最終的に「燃やしてみよう」という悪質な遊びに発展したという。
最初は冗談だと思ったらしい。
しかし次の瞬間には、ライターの火がカードに移されていた。
「やめてって言ったのに……」
その言葉は途中で途切れ、ただ涙だけが落ちた。
私は握りしめた拳をゆっくりと解いた。
問題は、それだけでは終わらなかった。
相手の子どもと一緒に来たその親が、玄関先でこう言い放ったのだ。
「子どものやったことなんて、いちいち弁償なんてしませんよ」
私は一瞬、言葉を失った。
だが次の瞬間、胸の奥で何かが静かに切り替わった。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=cWCmsqDAT-0,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]