「立ってられないからデブなんだよ」
その言葉を聞いた瞬間、私は電車のドアの前で足を止めた。
時刻は22時過ぎ。
朝から仕事をして、急な対応で残業までして、ようやく帰れるところだった。
肩は重いし、足もパンパン。
それでも運よく座れた席で、私は黙って目を閉じていた。
数駅過ぎたところで、ディズニー帰りらしい女性2人が乗ってきた。
2人とも大きなお土産袋をいくつも抱えていて、楽しそうに話していた。
私の隣だけ席が空いていたので、1人が座った。
もう1人は立ったまま。
そこまでは何とも思わなかった。
ところが電車が動き出してすぐ、立っている女性が私の方を何度も見ながら、大きな声を出し始めた。
「はぁ〜、疲れたぁ」
「ほんと無理、座りたい」
「眠い〜。足痛い〜」
最初は気のせいだと思った。
でも彼女は、わざわざ私と目が合う位置まで顔を向けてくる。
隣に座った友人もチラチラこちらを見る。
――ああ、席を譲れってことか。
そう理解した瞬間、胸の奥が少しモヤッとした。
ここは優先席ではない。
私は仕事帰り。
彼女たちは遊び帰り。
もちろん遊びでも疲れるのは分かる。
でも、「疲れた」と大声でアピールすれば、誰かが席を譲るのが当然なのだろうか。
私は何も言わず、スマホに視線を戻した。
すると突然、
ツン、ツン。
隣に座っていた女性が肘で私の腕をつついてきた。
一度ではない。
もう一度。
私はさすがに顔を上げた。
女性は私を見てから、立っている友人へ視線を送った。
その表情は、言葉にしなくても分かった。
「察してよ」
そう言いたげだった。
私は静かに言った。
「何ですか?」
すると女性は少し驚いた顔をして、
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