藤原倫子は、藤原道長の正妻として、宮中で強大な影響力を持っていました。一方で、紫式部は道長の娘である彰子に仕える女房として宮中に入ることになります。紫式部の文学的才能は宮中でも評判でしたが、それが逆に倫子の目には、彼女に対する脅威として映ったのかもしれません。
紫式部の日記には、彼女が藤原倫子との間で交わしたやり取りが詳細に記されています。その中でも、特に有名なのが「菊の節句」における出来事です。9月9日の菊の節句に、倫子は紫式部に対して、菊の花を送るとともに「若返りを祈願する」という言葉を添えました。紫式部はこれを、単なる祝福ではなく、自分に対する嫌味と受け取ったのです。
この倫子からの「贈り物」に対し、紫式部は自分の立場を守るため、慎重に対応しました。彼女は、表向きは礼を尽くしつつも、内心では「これほどの年齢になった私に若返りが必要なのか?」
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