平安時代、雅な文化が花開く宮廷では、一条天皇を中心にした純愛劇が繰り広げられていました。この物語の主役となるのは、二人の女性――藤原定子と藤原彰子です。一条天皇の心をめぐり、二人の女性の運命は交錯し、愛と権力、そして悲しみが絡み合う物語が生まれます。
幼い頃から病弱であった一条天皇の心を癒したのが、彼の初恋の相手である藤原定子でした。
まだ一条天皇が11歳、定子が14歳の頃、彼女が天皇の后として宮廷に入った瞬間から、二人の絆は始まりました。定子は知的で華やかなサロンを作り上げ、多くの文化人を引き寄せる存在となり、その存在感は宮廷に光を与えるものでした。
彼女のサロンは、枕草子の作者である清少納言を始めとする知性派の女性たちが集い、詩や文学、流行の話題で賑わいました。定子自身も教養に優れ、詩会を主催するなど文化的な影響力を持ち、一条天皇の心の支えであり続けました。
彼女の存在は、天皇の政治的なパートナーとしても重要であり、天皇が健康を害している間、しばしば彼の意志を代弁する役割を果たしていたのです。
一方、宮廷にはもう一人の女性、藤原彰子が現れます。彰子は藤原道長の娘であり、彼の計略により、12歳という若さで一条天皇の后として宮廷に迎えられました。
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