一見の紳士、花岡悟
朝ドラ『虎に翼』の中で、ヒロイン智子の友人として登場する花岡悟。彼はその紳士的な態度と爽やかな笑顔で、多くの女子学生たちの心を瞬く間に掴んでいった。しかし、彼の魅力の裏には、深い葛藤が隠されている。花岡は、幼い頃に母を亡くし、父親のもとで育てられた。その影響か、彼は他人に対して真心を見せる一方で、男性社会の中での同調圧力に敏感で、本心を隠してしまうこともあった。
山口良忠というモデル
そんな花岡のモデルとされるのが、戦後の混乱期に裁判官として活躍した山口良忠だ。彼は1913年に佐賀県で生まれ、京都帝国大学に進学し、民事裁判を担当する判事となった。戦後の食糧不足が深刻化した時期、彼は闇米問題に関わる裁判に携わることになる。しかし、彼が扱ったのは犯罪者というよりも、食糧難に苦しみ、やむを得ず闇米を所持していた庶民だった。山口はその裁判を通じて「生きるために闇米を買う人々を罰することに、果たして正義があるのか」
信念に殉じた男の選択
山口良忠は、自らの信念に従い、闇米を食べることを拒否した。彼は「闇米を処罰する者が、自ら闇米を食べて生き延びることはできない」
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