紫式部の娘、賢子は歴史の影の中で静かに輝く存在です。彼女がどのようにして大出世を遂げたのか、歴史評論家の香原斗志さんは次のように述べています。「母親の跡を継いで女房として出仕し、その後、親仁親王の乳母に選ばれたことで、大出世した。しかし、これは藤原道長の娘だからではない」と。

賢子の物語は、NHK大河ドラマ「光る君へ」の一連のエピソードによって一層注目を浴びることになりました。第26回「いけにえの姫」（6月30日放送）で、紫式部ことまひろ（吉高由里子）が藤原道長（柄本佑）と石山寺で出会う場面から物語が始まります。続く第27回「宿縁の命」（7月14日放送）では、二人のラブシーンが描かれ、その後、まひろは女児を出産します。しかし、この子の父親が藤原道長であるという設定が問題となります。

ドラマの中で、まひろは妊娠の時期が夫の藤原宣孝（佐々木蔵之介）が不在の間であったため、子の父親が道長であるという疑念を抱きます。

しかし、宣孝は「そなたの産む子はだれの子でもわしの子だ」と言い切り、まひろに対する揺るぎない愛を示します。彼の度量の広さは、視聴者に強い印象を残しました。

まひろが執筆した『源氏物語』のテーマの一つが不義の子であり、光源氏と藤壺中宮の間に生まれた冷泉帝の物語と重なるように描かれています。しかし、脚本家が意図したかどうかは別として、この設定は史実では「かぎりなくゼロ」に近いとされています。

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