パン屋のドアをくぐると、ふんわりとした温かいパンの香りが鼻をくすぐった。朝のラッシュも過ぎ、店内は穏やかな雰囲気に包まれている。私がこの店を訪れるのは初めてではない。ここの海老カツサンドは特に評判が良く、私のお気に入りでもあった。
今日は運良く、その海老カツサンドがまだ残っていた。ショーケースの中央で輝くその一つを指差し、「それください」と注文した。
だが、店員の女性は困ったような表情を浮かべた。
「申し訳ありませんが、その海老カツサンド、常連のお客様によく買っていただいているものなんです。できれば譲っていただけませんか?」
一瞬、耳を疑った。このパン屋に常連が多いことは分かるが、だからといって、私が買おうとした商品を譲る理由にはならない。私は笑顔を維持しつつ固く断った。
「いいえ、大丈夫です。これをいただきます。」
その瞬間、店員の顔が少し曇ったように見えたが、それ以上何も言わずに会計を進めた。店内は温かい空気に包まれているはずなのに、あの店員の表情が理由なのか、心のどこかがわずかに冷たく感じられた。
──だが、それだけでは終わらなかった。
袋詰めが終わり、代金を支払っている間、横のカウンターで待っていた中年の男性が、店員と何か話しているのが見えた。小声だったが、どうやら私の購入した海老カツサンドについて話しているようだった。そして笑いながら私の方をちらりと見たのだ。
ヒソヒソ話されるのは気分がいいものではない。そのやり取りが自分に向けられたものであると分かった瞬間、心臓がドクンと跳ねた。
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引用元:https://www.youtube.com/watch?v=cPoJ_PnrQao,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]