昭和36年(1961年)頃の東京・靖国通り――この写真には、現在では決して見ることのできない風景が映し出されています。九段坂上から神田方面を眺めたその景色には、時代の空気が色濃く漂い、当時の東京の日常が静かに息づいています。
写真に写るのは、まだ首都高速道路が開通する前の靖国通りです。今では空を遮る高速道路が走り、ビルが立ち並ぶこの場所も、当時は電車と車、そして歩行者が混在する活気あふれる通りでした。その街を走る都電が、東京の暮らしに欠かせない交通手段だった時代の象徴として印象的です。
空を見上げれば、どこまでも広がる青空がありました。現代の東京では、建物や道路に囲まれ、空を見上げる機会さえ少なくなっていますが、写真に映る風景はその当時、人々がもっと空を近くに感じながら生きていたことを伝えてくれます。
写真の中の靖国通りを行き交う車や人々の姿は、現代とそう大きく変わらないようにも見えますが、そこには確かに違いが存在します。それは、街の「余白」――都市にゆとりがあり、忙しい中にもどこかのんびりとした時間が流れていたことです。自動車が増え、都市開発が進むことで、私たちの暮らしは便利になった一方、その余白が失われていきました。
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