昔の田舎の冬、私たちの家は、まるで絵画から抜け出したかのような古風な家でした。家の裏手には緑豊かな山が広がり、春になると菜の花が咲き誇るのが楽しみでした。私たち家族、祖父母と父母、そして愛犬のジュンと一緒に暮らしていました。このジュンという犬は、父が知り合いから譲り受けた犬で、白い毛並みの美しい犬でした。

ある日、私は縁側に座ってお茶をしながら、庭で遊ぶジュンと子犬たちを眺めていました。その日は久しぶりの晴れで、私はのんびりとした時間を過ごそうと、小説を一冊手にしていました。ふと顔を上げると、見知らぬ女の子が庭に立っているのに気づきました。彼女は小学生の低学年ほどの年齢で、ひざ丈のワンピースを着ており、左手には銀色のブレスレットをしていました。

その女の子は、庭でゴロゴロと転がる子犬たちをじっと見つめ、その表情は見ているこちらが微笑んでしまうほど変化に富んでいました。

その光景に私は興味を引かれしばらく眺めていましたが、いつの間にか彼女の姿は消えていました。彼女がどうやって去ったのか見当もつかず、不思議な気持ちになりました。

次の日も、その次の日も、晴れた日には女の子は必ず庭に現れ、子犬たちの様子を見守り続けていました。しかし、彼女に気づいているのは私だけで、家族には誰にも見えなかったようです。

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