朝日の差し込む部屋に、静かな鼓動が響く。26歳のOL、沙織はベッドから起き上がり、小さな生命の存在を再確認する。手のひらサイズの子猫、ミミはまるで一片の羽のように軽やかに彼女の腕の中に収まっている。まるで絆の糸で結ばれているかのような安堵感を胸に、沙織は優しくミミの頭を撫でた。

沙織は幼いころから猫を飼いたかったが、その夢は叶った試しがなかった。理由はシンプルで、彼女の家族はペット禁止のマンションに住んでいたのだ。しかし、独立して自分の家を持つことになった今、彼女は心からの願いを叶える時が来たと感じたのだった。そんな時に出会ったのが、捨てられていたこの小さな子猫、ミミだった。

初めてミミを見かけたのは、仕事の帰り道だった。小さな箱に入れられたその姿は、一瞬で彼女の心をつかんだ。体はあまりにも小さくか細く、命の灯が消えかけているようにすら見えたのだ。

それからというもの、沙織の生活は一変した。毎朝ミミが元気かどうかを確かめることから彼女の一日が始まる。

記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください