「日本近海に、600年分のエネルギー資源が眠っている可能性がある」
この表現は刺激的だが、完全な作り話というわけではない。
2020年7月、北海道大学と茨城大学の研究グループは、茨城県北部の五浦海岸沖の海底深部において、巨大な炭酸塩コンクリーションが分布していることを発表した。
研究によれば、これらの岩体は過去の大規模な油ガス活動と深く関係しており、「太古の巨大油ガス田が存在していた痕跡」と考えられるという。

この発表は学術的には慎重な表現でまとめられていたが、一部のメディアやネット記事では「莫大なエネルギー規模」「日本が数百年使える可能性」といった形で紹介され、やがて「600年分のエネルギー」という言葉が独り歩きを始めた。
しかし、研究者自身は当初から一貫して「商業的に採掘可能かどうかは不明であり、試掘を行わなければ判断できない」と述べている。実際、その後も国による大規模な試掘計画や開発スケジュールが公表されることはなく、話題は次第に表舞台から姿を消していった。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
引用元:,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]