油田もガスもあるのに…
なぜ日本人だけが、こんなに高いガソリン代を払い続けるのか
夕方の帰宅時間、郊外のガソリンスタンドに列ができる。運送業に携わる佐藤は、給油機の前で無言のまま表示板を見つめていた。数円の変動に一喜一憂する日々は、もはや特別な出来事ではない。彼の頭に浮かぶのは、最近また耳にした言葉だ――日本近海には油田や天然ガス、さらには稀土資源まで「ある」という話。
ならば、なぜ現実は変わらないのか。
事実として、日本周辺に資源の可能性が指摘されてきたことは新しい話ではない。研究機関の報告や専門家の発言は、過去にも何度も公にされている。甲烷水合物、近海の油ガス、地熱や海底鉱物。いずれも「潜在力」という言葉とともに紹介され、将来像を想起させてきた。しかし、佐藤の支払うガソリン代は下がらない。ここに、生活者の違和感がある。

理由は単純ではない。ガソリン価格は地下資源の量で決まるわけではなく、制度と市場の積み重ねで形成される。原油の調達費、精製や流通のコスト、そして複数の税が重なり、最終価格が出来上がる。
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