ある静かな夜、私は仕事を終え帰宅する途中だった。道沿いに目をやると、泥だらけの小さな猫が横たわり、苦しそうに喘いでいるのが目に飛び込んできた。周囲には人影もなく、あまりにも無惨なその光景に、胸が締め付けられる思いがした。このまま見過ごすことなどできず、私はすぐに車を止めた。

流れの速い泥路の真ん中にいるその猫。私はどうにかして助けたいと思い、慎重に近づいた。ところが、その猫は私が近づくと急に警戒心をむき出しにし、歯を見せて威嚇してきた。可哀想に、どれほど痛い思いをしているのだろうか。その姿に一瞬ためらいそうになったが、自分を奮い立たせて、猫を抱き上げる決意を固めた。

猫を無理やり抱き上げ、車の後部座席に優しく置いた。ぐったりとした体は非常に軽く感じたが、目を見ると、生きようとする強い意志がほのかに感じられた。ようやくその子を乗せた私は、近くの動物病院に向かうため急いで車を発進させた。

動物病院に到着すると、若い獣医が驚いた表情で迎え入れてくれた。

私はその時何が起こったのか、必死に説明した。猫は後ろ足が潰れており、左足の骨が突き出て血が流れていた。恐らく車に轢かれたのだろう。若い獣医はすぐに診察を始め、私はその場で緊張感をもって見守った。

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