ある日、私の姉が働く病院に、一匹の猫が持ち込まれました。その猫は道路で車にはねられ、瀕死の状態で発見されたのです。名前は「ソラ」、当時7歳でした。初めて見た時、その姿は衝撃的でした。骨盤骨折を起こし、一時的ではありますが視力も失われていました。しかし、幸運にも命は取り留めたのです。

病院での治療が終わり、ソラは里親探しの対象となりましたが、なかなか見つかりません。

そこで、姉が一時的に自宅に連れて帰ることになり、私たち家族もその猫を迎え入れる決意をしました。私たちの家にはこれまで数匹の猫を飼ってきましたが、ソラのような状態の猫は初めてでした。

初めて家に連れて来た日、ソラは視力がないせいか、あちこちにぶつかり、それが怖くて更に逃げ回る始末でした。買い物袋にぶつかっては驚き、家具にぶつかっては戸惑い、本当に最初の数日は大変な状態でした。ソラは発作を起こして尿まみれになることもありました。

しかし、日が経つにつれて、ソラは家の中の様々な場所に慣れ、発作の頻度も減って行きました。

猫の特性として、目が見えなくなると他の感覚が鋭くなる傾向があります。ソラも例外ではなく、鼻や耳が非常に敏感になりました。お気に入りのおもちゃがあり、それはフィルムケースに鈴が入ったものでした。その音に夢中になり、追いかけて遊ぶ姿はとても愛らしかったです。

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