家に迷い込んできた子猫、彼の最初の出会いから心に深く刻まれた瞬間があった。彼は餌を求めていたが、私が近づくとすぐに外へと逃げ出してしまった。しかし、お腹が空くと再び網戸に貼り付き、餌を求める鳴き声を上げるのだった。外は危険だからこの子を家で飼うことに決め、何とか捕まえることに成功した。しかし、彼の性格はなかなか可愛げがなく、ひねくれた態度ばかりだった。

自分の分の餌を食べている最中に、あの子猫が来ると迷わず横取りしてしまう。他の先住猫も当然かんかんになっていた。それでも先住猫はなんとか一緒に遊び、寝るときも寄り添ってくれた。しかし次第に、先住猫は新参者への嫉妬心を募らせるようになり、トイレットペーパーを丸ごと全て引きちぎってしまうなどの嫌がらせを始めた。

そんな日々でも、一緒に暮らしていくうちにその子猫も少しずつ心を開いてくれるようになり、家族として楽しく過ごせるようになった。

しかし、そんな折、この子猫は一度だけ、特別な瞬間を見せたのだった。肌寒い季節がやって来たある日、私はソファでくつろぎながら読書をしていた。少しばかり寒さを感じ、毛布にくるまろうとしたその時、あの子猫が珍しく私の胸の上にちょこんと乗ってきた。

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