一匹の猫が、都会の喧騒から少し離れた静かな住宅街にやって来た。その猫は、ただの猫ではない。名前はクル。この猫には、まるで犬のような性格を持っていると噂されていた。飼い主のかおりさんは、彼女との出会いの日を今でも鮮明に覚えている。近所のペットショップで出会ったクルは、他の猫とは一線を画していた。猫なのに、忠誠心が強くて、人懐っこさが際立っていたのだ。

犬のような忠誠心

クルがかおりさんの家に来てから、日々の生活が彩られていった。しかし、かおりさんは一つだけ困っていることがあった。それは、クルの忠誠心が強すぎるということだ。家中の部屋がクルに開放されているわけではないが、許可されていない部屋の前でクルがずっと待機している姿が見られた。まるで主人を待つ犬のように、一点を見つめて動かない。最初は不思議に思ったが、次第にそれが愛しくもあり、微笑ましくも感じられた。

許可されていない部屋

かおりさんの家には、たった一つクルが許可されていない部屋がある。それは、かおりさんの書斎だ。重要な書類やデリケートな機材が多いため、クルが入ることで何か問題が起こるのを避けたいという思いからだった。しかし、クルはどうしてもこの部屋に入りたいようで、かおりさんが書斎に入るたび、クルもその後ろをついてくる。そして、扉を閉めると、その前でじっと待機するのだ。

記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください