「もう動かせません。これ以上バックすると、電柱にぶつかる危険があります」
JAFの隊員からそう告げられた瞬間、私は思わず車の中で固まった。
今日は、まさかこんなことになるとは思っていなかった。
住宅街の細い下り坂。
いつものように速度を落とし、慎重に坂を下っていた。
ところが、カーブを曲がり切ることができなかった。
仕方なく、一度切り返してバックしようとした。
その瞬間だった。
左後輪が空回りし、車体が動かなくなった。
アクセルを踏んでも、タイヤがむなしく回るだけ。
前には電柱。
横には石垣。
後ろには限られたスペースしかない。
少しでも操作を間違えれば、車体をぶつけてしまう状況だった。
何度か慎重に動かそうとしたが、まったく抜け出せない。
これ以上、自分だけで何とかしようとするのは危険だと判断した。
すぐにJAFへ連絡した。
しばらくして到着した隊員さんは、車の位置と周囲の状況を確認した。
そして、タイヤの状態を見ながら難しい表情を浮かべた。
「前から引っ張ると電柱に接触する可能性があります」
「後ろから牽引するにも、作業スペースが足りません」
その言葉を聞いて、私はますます焦った。
せっかく来てもらったのに、簡単には解決できない。
近くには住宅が並び、道路を通る人や車にも迷惑をかけてしまっている。
どうしたらいいのか。
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