「たった1人の迷惑行為で、どうして私たちまでトイレを使えないんだ!」
ローソンの入口に貼られた2枚の貼り紙を見て、私は思わず足を止めた。
1枚には、こう書かれていた。
「ただいま、トイレを貸していません。聞かれても絶対にお貸ししません」
もう1枚には、理由が手書きで説明されていた。
「トイレの個室内でタバコを吸われた方がいました。
火事の危険性があるため、当面の間、貸し出しを止めます。ローソン店内は全て禁煙です」
私は信じられなかった。
コンビニのトイレで喫煙する人がいるなんて。
しかも、火事になれば店員だけでなく、買い物に来ている客や近隣住民まで危険にさらされる。
その日の夕方、私は飲み物を買うために店内へ入った。
レジには、疲れた表情の女性店員が立っていた。
そこへ、仕事帰りらしい男性客がやってきた。
「すみません、トイレを貸してください」
店員は申し訳なさそうに答えた。
「申し訳ございません。現在、トイレの貸し出しを中止しております」
「え?なんで?コンビニなんだからトイレくらい貸してよ!」
「店内に掲示しておりますが、トイレ内で喫煙されたお客様がいらっしゃいまして、火災防止のために使用を中止しております」
男性は不機嫌そうに舌打ちした。
「そんなの、そいつだけ出入り禁止にすればいいだろ!俺たちまで巻き込むなよ!」
店員は何度も頭を下げた。
しかし、男性は納得せず、レジ前で文句を言い続けた。
私は見ていられなくなり、思わず口を開いた。
「店員さんは悪くないですよ」
男性がこちらを振り向いた。
「何がだよ?」
「もしトイレで火事になったら、あなたも私も、ここにいる人全員が危険になりますよね。
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