道端で見つけた一匹のボロボロの猫。まさかこの出会いが私たち家族の生活を大きく変えるとは思いもしなかった。ある寒い夜、仕事の帰り道、疲れ切った身体でふらふらと歩いていた時のことだ。街灯の微かな明かりの下、何かがちらっと動くのを視界の端に捉えた。それは痩せこけて毛がボサボサ、そして体中が汚れている子猫だった。

### 見知らぬ出会い─最後を看取るつもりで最初は目を背けようとした。

正直、猫を拾うなんて考えたこともなかった。「疲れているのに面倒事まで……」という気持ちもあった。しかし、その日はたまたま感傷的な気分になっていたのか、立ち止まってしまった。子猫は動こうとせず、力なく横たわっている。その姿に「このままではこの子は死んでしまう」と直感した。家に連れて帰り、せめて最後の時を穏やかに過ごさせてあげようと思った。

家に到着してまず行ったのは、彼の体を拭き、暖かい毛布を用意することだった。ボサボサだった毛をクシでとかし、傷や汚れを丁寧に拭き取ると、わずかに灰色がかった毛並みが現れた。でも、片方の目は閉じたままで、「この子はもう目が見えないのかもしれない」

と思った。お腹が空いているだろうと柔らかいご飯を用意してあげると、すごい勢いで平らげた。名前もまだないその子に、私たちは翌日どうするか家族で話し合うことを決め、その夜そっと眠りについた。

### 奇跡の朝翌朝、耳をつんざくような大きな鳴き声で目を覚ました。なんと、その子は昨夜とはまるで別猫のように元気に鳴き、部屋の中を歩き回っているではないか。

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