砂漠の真ん中、何もない広々とした荒野。太陽が容赦なく照りつけ、地上は焼けるような暑さだった。一人の男とその愛犬が長旅に疲れ、砂の中に座り込んでいた。男は旅の途中で銃撃戦に巻き込まれ、どうやら命を失ってしまったらしい。それでも、死んだあとで意識を取り戻した時、彼はまだ愛犬の温かな視線を感じていた。

男は自分が死んだことを正確に認識していた。

不思議と恐怖は湧かなかったが、それでも愛犬が自分の傍を離れなかったことが、彼の胸を温めた。その犬は何も言葉を交わすことはできない。ただ男の横で忠実に彼を見上げ、片時も離れない。どこか神聖な雰囲気すら感じさせるその言葉無き伴侶の存在が、男にとって唯一の救いであった。

男と犬は暗い道を歩き始める。どこに続いているのかも分からない道だが、行く先には眩い光が現れた。光の中には堂々とした巨大な門が立っていて、その周囲には美しい庭が広がる天国そのものの風景が見えた。

男はそこがきっと「死後の楽園」なのだろうと思った。

「ここまで来れたのだから、これがお前との最後の旅のゴール地点だろう。」

男がそう言うと、犬は尻尾を軽く振りながら静かに寄り添った。

門の前に立つと、白衣を着た老人が現れた。その顔は親しみやすく、優しい笑顔を浮かべていたが、その声には少しの厳しさがあった。

「ここは天国の門。しかし、お前が本当にここを通る資格があるかどうかは、これから試されることになる。

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