三淵嘉子という名前を聞いたことがあるだろうか。彼女は日本初の女性法律家の一人であり、その生涯は波乱万丈であった。NHK朝ドラ『虎につ』のヒロイン、猪爪寅子のモデルとしても知られているが、ドラマでは語られなかった彼女の実際の生い立ちや、戦い続けた激動の人生について紹介したい。
三淵嘉子は1914年11月13日、シンガポールで生まれた。父親は銀行員であり、海外赴任中に誕生した彼女は、幼少期をシンガポールで過ごすことになった。父の仕事の都合で、その後一家は香川県丸亀市に移り住むが、ここでの生活が彼女の人格形成に大きな影響を与えた。
1927年、東京に移住し、東京女子高等師範学校附属高等女学校に入学。ここでの教育は、彼女の人生の方向性を決定づけた。父親の「普通のお嫁さんにはなるな、専門の職業を持て」という助言に従い、嘉子は法律の道を志すようになる。
当時、女性が職業を持つことは珍しく、多くの困難が立ちはだかっていた。しかし、嘉子は法律の道を選び、1932年に明治大学女子部の法科に入学。世間からは「変わり者」と見られることもあったが、彼女はその道を突き進んだ。
1938年、弁護士法が改正され、女性も弁護士になれるようになった。
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